解説

 前のステップで策定した課題解決策に対して「課題解決策のどの部分がデータ分析で達成できるか?」「データ分析で達成したいことは何か?」を明確にします。データ分析で達成できることは次の5パターンに分類できます。

何が起きたかを把握する

 データの推移や分布などの特徴を把握したり、比較対象との差異を見いだして、有益な情報を抽出するアプローチです。一般的なBIツールのように、グラフを描画するなどデータを視覚化することが重要になります。前のステップで設定した目標値(KPI)の推移をモニタリングするイメージです。これにより、次のようなことができるようになります。

  1. 事実を客観的に把握し、裏付けができる
  2. 段階的に状態を改善するために、現状を示し、目標達成の習慣を促す

パターンを見つけ自動化する

 データからパターンを見つけ、予測モデルを作成するアプローチです。予測モデルをシステムに組み込むことで業務を自動化、半自動化できるようになります。例として、レコメンドエンジンなどがあげられます。これにより、次のようなことができるようになります。

  1. 人の感覚だけでは得難いパターンを得られる
  2. 客観的、合理的に予測やシミュレーションができる
  3. 課題解決策をシステムで実行(自働化)できる

ケーススタディ

 前のステップでは、課題解決策として次のような案があがりました。

  • リピート率を高めている商品・サービスがあるなら、積極的に勧める(クーポン配布なども検討)
  • サービス、顧客層に合せて、それらのリピート率が高いスタイリストを担当させる

ワーク:課題解決策に対してデータ分析で何ができるでしょうか? ヒント:まず、上記の5パターンのどれが利用できるかあたりをつけます。


 ここでは課題解決策をより具体化するために、パターン3「人の感覚だけでは得難いパターンを得られる」(もしくはパターン4)の利用が考えられます。そこで、データ分析のソリューションとして「リピート率に影響を与えている要因とその程度を明らかにする」と設定しました。

 ここまでのステップで「何のために、何をするか」方針が固まってきたので、一旦整理します。

  • 目標:リピーター減少前の来店客数(1320人/年)を確保する
  • 目標(KPI):新規顧客のリピート率45%
  • 課題:新規顧客のリピート率改善
  • 課題解決策1:リピート率を高めているサービスがあるなら、積極的に勧める(クーポン配布を検討)
  • 課題解決策2:サービス、顧客層に合せて、それらのリピート率が高いスタイリストを担当させる
  • データ分析のソリューション:リピート率に影響を与えている要因とその程度を明らかにする

 このように実際にデータを収集、分析する前に一連のストーリーを設定することで、データ分析がどのように成果につながるかが明確になります。 ストーリーを設定せずに、手元にあるデータをただいじくりまわしても、データから役立つ情報を抽出することは困難です。


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